日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: S13-5
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シンポジウム 13 化学物質曝露と子どもの脳発達 ・・・発達神経毒性ガイドラインの現状と課題
国際的な化学物質管理の潮流と産業界の研究的取り組み
*庄野 文章
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抄録
 化学物質のリスク管理に関する今日の国際的潮流は、2002年ヨハネスブルグで開催された持続可能な発展のための世界首脳会議(WSSD)が契機となっている。本WSSDでは“透明性のある科学に基づくリスク評価と管理手法を用い予防的アプローチを考慮して健康および環境への影響を最小限にする方法で化学物質を製造し使用することを2020年までに達成すること目指す”ことが合意された。そのため国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)が策定され従来の化学物質固有の危険性のみに着目した従来のハザードベース管理から科学的手法に基づいたリスクベース管理のパラダイムシフトが明確となっている。こういった国際的な化学品管理のながれの中で、各国規制当局は化学物質の管理に関する規制を整備し、または新たに施行しつつある。一方では化学物質のリスク評価上の科学的に解明すべき多くの課題も残されており、例えばヒトでの毒性予測における実験動物の種差の問題、低用量領域における非線形用量相関(NMDR:Non-Monotonic Dose Response)やカクテル・混合物あるいは複数曝露による複合リスク影響評価やナノマテリアル、金属等のリスク評価について国際的に活発な議論がなされている。産業界としてはこういった化学物質のリスク評価上の諸種の課題に対して科学的な解明に寄与すべく1998年から国際化学工業協会協議会(ICCA:International Council of Chemical Associations)の研究支援活動としてLRI(Long-range research initiative:長期自主研究)を開始した。日本においても2000年より開始し、現在、欧州化学連盟(Cefic)およびアメリカ化学工業協議会(ACC)と三極で積極的な研究支援活動を展開している。本講演では、こういった産業界としての研究的側面の取り組み状況について概説するとともに今後の課題等についてもふれてみたい。
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© 2014 日本毒性学会
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