日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: S6-4
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シンポジウム 6 毒性オミクス -遺伝子発現ネットワークを標的とした、治療、毒性、及びそれらの評価の新動向-
アカデミアからの日本発医薬品創出へ向けて
*矢守 隆夫
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抄録

 わが国のアカデミアにおけるがん研究の水準は世界でもトップレベルにある。しかしながら、アカデミア研究の成果が日本発の抗がん剤の創出に結実した成功例はむしろまれである。これは極めて残念なことであるが、その主な理由としては、創薬シーズを見出し医薬品へ育てるシステムがアカデミアにおいて確立されていないこと、あるいは産学連携が思うように機能していないことなどが挙げられる。本講演では、アカデミアからの創薬をねらった積極的な取り組みとして、私共が長年取り組んできた文科省科研費によるアカデミア版抗がん剤探索プロジェクトとその成果を紹介する。以上は創薬パイプラインの上流の話であるが、一方、その出口にあたる新薬承認申請の審査を行うPMDAにおいてもわが国からの新薬創出を支援を目的とした動きがある。具体的には、科学委員会、薬事戦略相談、人材交流プロジェクトなどPMDAの新たな取り組みが始まっており、これらについても紹介する。医療イノベーションの実現には、産と学さらに官が連携して日本発の医薬品を創出することが肝要であり、それがわが国の活性化にもつながると期待される。
(関連論文)
1. 矢守隆夫. アカデミアの立場からの新薬開発支援 がん支援・化学療法基盤支援活動の取り組み. 腫瘍内科. 2012;9(3):320-326.
2. Antitumor activity of ZSTK474, a new phosphatidylinositol 3-kinase inhibitor. Yaguchi S, Yamori T et al. J Natl Cancer Inst. 2006; 98(8):545-56.
3. AMF-26, a novel inhibitor of the Golgi system, targeting ADP-ribosylation factor 1 (Arf1) with potential for cancer therapy. Ohashi Y, Yamori T et al. J Biol Chem. 2012; 287(6):3885-97.

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© 2014 日本毒性学会
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