日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: S8-4
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シンポジウム 8 実験動物福祉および実験動物モデルの新たな展開:国際動向を探る
医薬品研究開発に求められる疾患モデル動物
*新井 裕幸
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抄録

動物試験は新薬候補物質のヒトへの投与の前に欠かすことのできないステップであり、ヒトでの安全性及び有効性を予測し、安全で有効な薬剤を患者へ届ける上で特に重要である。一方、動物試験は3Rの基本的概念を守ることが必須であり、製薬企業や研究機関は効率的な試験の実施が必要である。特に、疾患モデル動物には高い精度、再現性、ヒトへの外挿性を有することが期待されている。日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会では、これまでの医薬品開発に貢献した疾患モデル動物について把握すると共に、この情報を今後の疾患モデル動物の開発に資することを目的として、加盟企業を対象にアンケート調査を行った。アンケートでは、これまでに新薬の開発等で使用した疾患モデル動物、使用によって得られた成果、使用の際に苦労した点及び当該疾患モデル動物について改善されるべき点を尋ねた。更に、今後期待される疾患モデルに関して意見を求めた。アンケートの回答は31社から得られた。その結果、これまでに様々な疾患を対象とした医薬品の開発に多くの種類の疾患モデル動物が使用されていた。そのほとんどの事例で、疾患モデル動物の使用によって目的とする疾患に対する新薬候補物質の有効性が確認されており、新薬開発における疾患モデル動物の有用性と意義が改めて示唆された。使用の際に苦労した点としては、試験方法の至適条件の設定やモデル作製の困難さ等の意見が多かった。また、各疾患モデル動物の改良すべき点としては、動物に与える苦痛やストレスのレベル、薬効のヒトへの外挿性、ばらつきの程度、データの精度・再現性等が挙げられた。特に、将来的な期待としては、ヒトの病態をより正確に反映した、外挿性の高いモデルの開発を期待するとの意見が多かった。本シンポジウムでは、これらの調査結果の詳細を報告するとともに、動物試験/疾患モデル動物の役割及び今後の展望について考察を加える。

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© 2014 日本毒性学会
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