日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: W7-1
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ワークショップ 7 医薬品の生殖発生毒性評価のためのパラダイムシフト
生殖発生毒性試験の現状と今後の方向性について
*三分一所 厚司
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抄録
ICH 生殖発生毒性試験ガイドラインS5(R2)は、1993年の原文作成以降改正が加えられてきたものの、その内容は殆ど変わっていない。 ただし、以後作成されたICH M3(R2)、S9、S6(R1)ガイドラインの中で生殖発生毒性試験に関する記載は比較的開発後期以降の実施になったこと、1種の動物種で明らかな生殖発生毒性が認められた場合には他の種の試験は省略が可能であること、霊長類を用いた新たな試験法の記載等、生殖発生毒性試験の実施方法が変化してきている。 この様な情況の中、ICHS5(R2)ガイドラインの内容を検討し直す必要が生じてきている。 ICH大阪会議(2013年11月)では、Safety Brainstorming Session が開催され、次期ICHのsafety領域のトピックスが検討された結果、3極から生殖発生試験ガイドラインICHS5(R2)の改訂が強く望まれたのも当然のことである。 また近年、非臨床試験において動物福祉の観点から3R’sが強く求められており、可能な限り試験数、動物数の削減が検討することが必要である。ICHタリン会議(2010年5月)以降、胚胎児発生毒性における非げっ歯類としてのウサギ試験の必要性について議論が継続されてきており、ESTやゼブラフィッシュを用いた代替試験法の活用とその実用化が検討されてきている。 製薬協 医薬品評価委員会 基礎研究部会においては、ICHS5(R2)の改訂を見据え、胚胎児発生毒性試験におけるラットとウサギの2種の動物種を使う必要性を検証するために、過去に実施したアンケート調査のデータベースの再解析に着手している。 この解析はラットおよびウサギの胚胎児発生毒性試験の試験結果を比較検討し、ラットあるいはウサギのみで観察される特有の生殖毒性の有無を検証することにより、1種の動物種で生殖発生毒性を評価することが可能か否かの判断の一助となると考えられる。これらは、ICHS5(R2)の改訂作業の際の根拠資料として役立つことが期待されるものである。
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© 2014 日本毒性学会
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