日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: W9-2
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ワークショップ 9 臨床第Ⅰ相試験を担保する安全域の考え方
「臨床第I相試験を担保する安全域の考え方」に関する製薬企業へのアンケート調査結果
*鈴木 睦佐々木 正治服部 慎一森山 賢二戸和 秀一下元 貴澄小崎 司友廣 雅之韓 大健田口 和彦本山 径子荻野 大和小林 章男三浦 慎一中村 和市
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抄録
医薬品開発で非臨床試験成績からヒト初回投与に至るには、科学的根拠に基づく的確な評価、予測、判断が必要で、まさにレギュラトリーサイエンスと言える。科学的根拠となる知見を得ることは、開発企業の非臨床部門に求められる重要な責務で、ヒトの安全性を十分に確保し開発を効率的に進めることにつながる。規制当局にとっても、このような科学的知見は、初回治験届の際の所謂30日調査やIND/CTAでの評価には必要不可欠であり、臨床試験における有害事象防止するために重要な判断根拠となる。
ヒト初回投与に関する安全域の考え方は、投与量ベースの無毒性量と推定薬効量比較の時代から、TKの普及、開発候補品の多様化を反映し複雑となっている。そこで、最新情報に基づいて考え方を整理し、議論することは安全かつ効率よく臨床試験を実施する上で有意義と考え、日本製薬工業協会医薬品評価委員会基礎研究部会加盟の60社を対象にアンケート調査を2013年11~12月に実施した。回答率は68.4%であった。調査内容は、①安全域を考える要因②治療領域③毒性所見④非臨床試験からの薬効量/曝露量の活用⑤ヒトPK予測・臨床薬理の現状と今後⑥臨床安全性リスク軽減である。その結果、安全域を考える上で血漿中薬物濃度が重要視されていることからTK測定は定着したものの、蛋白質結合体と非結合体とのどちらを考慮するかは意見が分かれた。ヒト由来材料を用いた成績やPK/PDシミュレーションデータは、開発段階で取得されるが、信頼性や外挿性の観点から十分な活用に至っていない実状が伺えた。毒性所見毎の安全域は概ね30~100倍が多数であったが、薬剤の薬理作用に基づく、あるいは安全性バイオマーカーを設定する場合では3~10倍と安全域を狭くする考えもあった。一方、標的毒性が薬理作用に基づくかや安全性バイオマーカーは安全域設定に影響しないとする回答も約60%を占めた。
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© 2014 日本毒性学会
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