日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-102
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一般演題 ポスター
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)ラット発がん性試験で観察されたMWCNTの特徴
*笠井 辰也梅田 ゆみ大西 誠浅倉 真澄福島 昭治
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抄録

ストレートタイプの多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は、その形状や機械的強度をもつ特徴からアスベストと同様に、ヒトに肺線維症、肺がん、中皮腫、胸膜肥厚等を引き起こす可能性が危惧されている。MWCNTのラットでの発がん性を検索するために、実際のヒトへの暴露経路を考慮して乾式のサイクロン・シーブ法によるエアロゾル発生装置を開発し、雌雄ラットを用いた全身吸入暴露による2年間の吸入発がん試験を行った。
ストレートタイプのMWCNT (MWNT-7)は、保土谷化学工業(株)社から購入し、F344/DuCrlCrljラットの雌雄に0、0.02、0.2及び2mg/m3の濃度で1日6時間、週5日間、104週間(2年間)、連続暴露(全身暴露)した。暴露中は、OPC(Optical particle controller、OPC-AP-600、柴田科学(株))を用いてMWCNTの個数濃度を連続測定しつつ、発生装置を帰還制御することにより吸入チャンバー内濃度を一定に維持した。また、2週間毎に各チャンバー内の質量濃度を測定し、さらに3ヵ月毎に粒子径測定及びSEMによる形態観察を実施した。2年間の暴露期間終了後、全動物を剖検し、気管支肺胞洗浄液を用いた細胞学及び生化学的検査、胸腔洗浄液のSEMによるMWNTの検索、マーカー(Benzo[ghi]perylene)を用いた肺内のMWCNTの定量及び病理学的検査を実施した。
今回は、2年間にわたる吸入試験で得られたデータの中から、チャンバー内の濃度制御結果と、吸入チャンバー及び暴露ラットの肺から採取したMWCNTの SEMによる観察結果とキャラクタリーゼーションの計測結果を報告する。さらにこれに加え、胸腔洗浄液検査で観察されたMWCNTの形状及び途中死亡動物と定期解剖動物で実施した肺のMWCNTの定量結果を報告する。

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© 2015 日本毒性学会
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