日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-156
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1-ブロモプロパン投与によるラット精子形態の変化
*大谷 勝己Mohsen VIGEH山崎 蒼
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抄録
【目的】コンピュータ画像解析法(CASA)は精子数および精子運動能の測定に威力を発揮してきた。筆者らはCASAを利用している間に(1)塗沫や染色の操作を必要とせず無傷の状態の精子の形態を観察できること、(2)画像を容易に保存できること、(3)暗視野の画像のために未成熟精子を肉眼で検出しやすい、などの有用性を見出し毒性学会において、ジブロモクロロプロパン、2-ブロモプロパンを試験物質として発表してきた。今回は1-ブロモプロパン(1BP)を試験物質としてCASAの画像による形態解析の利用法について述べることとする。
【方法】12週齢F344雄性フィッシャーラットに溶媒とともに1BP (1000 -3500 mg/kg)を週2回4週間皮下投与した(全8回投与)。対照群には溶媒のオリーブオイルを投与した。1週間の休薬の後、麻酔下で解剖した。5%牛血清アルブミンを含む199培地中で、精巣上体尾部に鋏をいれ、精子を培地中に浮遊させ、CASA(機種はハミルトン社製IVOS)により精子運動能および精子数の測定を行った。またCASAにおける拡大画像を保存して、後日呼び出し、短尾精子、未成熟精子、無頭精子、無尾精子、膨化精子を計測し最終的に正常精子率を求めた。
【結果】正常精子率は1000を除く投与群において減少を認めた。短尾精子は2000および3000mg/kgの投与群で増加した。また、頭部・尾部離断精子が3000および3500mg/kgの群で顕著に多く認められた。膨化精子は3500 mg/kgの投与群でのみ増加した。一方、未成熟精子に関して有意差は得られなかった。
【考察】1BPの影響として精子数の低下、精子運動能の低下は従来から認められていたが、運動能低下の原因は頭部・尾部離断精子の増加によるものと思われる。1BPの特徴としてこれまで他のハロゲン系プロパンでは認められなかった膨化精子が最高濃度で認められた。精子形態をこのような方法で解析することは生殖毒性をもつ化学物質を試験する上で有用と考えられる。
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© 2015 日本毒性学会
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