日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-25
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優秀研究発表 ポスター
ヒト肝がん細胞およびmacrophage化ヒト単球性白血病細胞の3次元培養下でのhalogenated hydrocarbonesの細胞障害性に関する検討
*田中 郁壮大石 千代香川 祐哉松本 奈津希加藤 隆児井尻 好雄林 哲也
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抄録

【背景・目的】四塩化炭素(CCl4)、ハロタン(HALO)およびセボフルラン(SEVO)を用い、ヒト肝がん細胞(FLC-4細胞)単独3次元培養、FLC-4細胞・ヒト単球性白血病細胞(THP-1細胞)の3次元共培養を行い、細胞障害性に与える影響について検討を行った。
【方法】単培養ではFLC-4細胞とEngelbreth-Holm-Swarm(ESH)ゲルを混合した後、CCl4, HALO, SEVOをそれぞれ5、10 mM添加し、3次元培養を行った。共培養ではTHP-1細胞をmacrophageへ分化誘導した後、ESHゲルと混合したFLC-4細胞を播種し、CCl4, HALO, SEVO(5, 10 mM)の添加を行い、同様に3次元培養を行った。培養7日目に細胞生存率、ミトコンドリア膜電位(MMP)、caspase-8、-9活性、細胞質中GSH/GSSH、TNF-α mRNA発現量の測定を行った。
【結果】FLC-4細胞単培養下で、CCl4の細胞生存率・MMP・GSH/GSSHは、53.9%・71.2%・61.1%に低下し、caspase-9活性は130%に上昇した。共培養下でHALOのそれらは、67.0%・80.1%・82.6%に低下し、caspase-8活性は153%に上昇、TNF-α mRNA発現量は489%へと上昇した。SEVOに関しては、単培養、共培養共に変化は認められなかった。
【考察】CCl4の細胞障害性は、その代謝物であるCCl3-radicalがミトコンドリア膜を直接傷害したため、MMP・GSH/GSSHの低下およびミトコンドリア膜構成成分であるpro-caspase-9が活性型caspase-9に変換されたと考えられた。HALOの細胞障害性は、単培養で生存率が不変であったが、共培養下で生存率が低下したことから、macrophage化THP-1細胞が関与していると考えられた。

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© 2015 日本毒性学会
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