日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: S10-2
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シンポジウム10 非臨床・臨床境界領域でのクロストーク ―メカニズムベース・セーフティー戦略の構築―
非臨床・臨床境界領域での副作用リスクに対する科学的アプローチ
*岩﨑 甫
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抄録
 医薬品の安全性は、その適正な使用を図るうえで最も重要な事項の一つであり、その開発に際しては創薬の段階から非臨床開発、臨床開発のすべての段階、さらに市販後においても様々な面から情報を収集し、その把握に努めることが求められている。それでも時として予測することが困難な有害反応が認められる場合が経験されることがあり、また、最先端科学による新たな作用メカニズムの薬剤治療だけでなく、再生医療、さらに増加しつつある大学等のアカデミアの研究者による医薬品の開発の場合では、研究者による非臨床開発での安全性データの評価は難しいことから、臨床開発段階での有害反応の予測自体も十分にはなされない懸念が生じている。このように、科学技術の進展が目覚ましい昨今においては、医療の多様化が進み、「副作用リスクに対する科学的なアプローチ」が個々の企業もしくは特定の専門分野での取り組みだけでは解決できない領域となりつつある。そのため、関連分野の境界領域を橋渡しする共通のサイエンス基盤を構築して行く必要を鑑み、産官学の枠を超えて非臨床、臨床、ファーマコビジランスおよび医療分野の専門家が各分野の専門的な知識をもとに討議し、学び、新たな方向性を見出すクロストークの場を持つことが重要となる。ここでは、医薬品の安全性に関してリスクプロファイルをメカニズムベースに読み解くことを通して、医薬品の使用に際して多様なリスク因子を合わせもつ個々の症例における副作用リスクの低減化に役立てることが期待される。このシンポジウムを通して、製薬企業だけでなく大学等のアカデミアの研究者により創薬される医薬品の安全性を含めて理解して行くために、「最先端の科学技術」を活用して基礎サイエンスから応用サイエンスとしての医療をつなぐ非臨床・臨床の相互のトランスレーションを生みだす“クロストーク”の場として設立された安全性フォーラムに関する理解を深めたい。
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© 2015 日本毒性学会
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