抄録
生体イメージングは、化学物質の生体影響評価において重要な役割を果たしている。特に近年の光学技術の発達により、哺乳類を用いたモデル動物における生体イメージングの情報量は飛躍的に増大した。しかし、多数の化学物質の毒性・安全性を哺乳類を用いて評価することは倫理面、コスト面など様々な問題を伴う。ゼブラフィッシュは、小型かつ多産であり多数の化学物質の影響評価に適していること、TALENやCRISPRを用いて任意の遺伝子を編集できること、脊椎動物でありヒトへの外挿性に優れていること、などの利点を有しており、医薬学・環境科学分野における利用が急速に拡大している。さらに、様々な色素欠損系統が樹立されており、蛍光を用いた生体イメージングにも適している。本シンポジウムでは、色素欠損系統MieKomachi、蛍光色素を用いた生体染色、蛍光蛋白質を特定の細胞に発現させるトランスジェニック技術などを組み合わせた、ゼブラフィッシュの生体イメージングによる化学物質の毒性試験に関する我々の研究(BMC Neuroscience 11: 116, 2010, BMC Neuroscience 13: 101, 2012, ACS Chemical Neuroscience 4: 1183, 2013, Toxicological Science 143: 374, 2015, Congenital Anomalies 55: 1, 2015)を紹介し、議論を深めたい。