日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-103
会議情報

一般演題 ポスター
短期発がん性スクリーニング法CARCINOscreen®を用いた遺伝子発現量データに基づく(定量的)リスク評価法の検討
*林 多恵松本 博士赤堀 有美山下 京介宮浦 英樹小林 俊夫菊野 秩石井 聡子中井 誠齋藤 文代
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

発がん性の評価は、化学物質のリスク評価及び管理において重要な項目の一つである。しかし、発がん性試験は、多大なコストを必要とし、多数の試験動物を用いることから、短期の発がん性評価手法の開発が望まれてきた。我々はこれまでにラットを用いた28日間反復投与試験から得られる肝臓の遺伝子発現量データを用いた短期発がん性スクリーニング法としてCARCINOscreen®を開発してきた。CARCINOscreen®による発がん性の有無の予測一致率は非常に高精度であることを報告しているが、発がん性リスク評価に適用するためには、定量的な予測指標が不可欠である。これまでにCARCINOscreen®から算出される発がん性の有無を予測するための値が用量依存性を示すことが確認されていることから、発がん性リスク評価のための定量的な指標に利用できる可能性が考えられた。この値は投与量に依存して変動することから、本研究では、発がん性が陽性と予測された物質について、直線または曲線回帰によって求めたCARCINOscreen®での発がん性を予測するための値が0を示す際の投与量 (DV0) を算出し、従来の有害性評価値の指標として用いられているBMDL10 (発現頻度10%とした時のベンチマークドーズ信頼下限値) 又はT25 (発がん頻度25%の用量)との相関解析を行い、DV0の発がん性のリスク評価への適用可能性について検討した。その結果、DV0はBMDL10及びT25と良好な相関性を示したことから、CARCINOscreen®によって得られるDV0は発がん性リスク評価のための定量的な指標として利用可能であることが示唆された。

著者関連情報
© 2016 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top