日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-121
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一般演題 ポスター
マイクロサンプリング法による頻回採血がラット毒性試験評価に与える影響について
*高橋 淳棚橋 新也田中 春樹橋本 貴生内田 圭治江崎 健関戸 徹早川 和宏則武 健一青木 豊彦
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抄録
【背景及び目的】近年,まるごとの動物を用いる毒性試験において3Rsの要求は年々強くなり,ICHガイドラインの改定やQ&A策定の大きな要因になっている。毒性試験における薬物の血中動態(トキシコキネティクス[TK]検査)を評価するため,これまで主群とは別にTK用にサテライト群の動物を設定してきたが,分析技術の進展による微量定量法の開発に伴い,主群の動物から微量採血(マイクロサンプリング)によるTK評価が可能となり,現在,ICH S3AガイドラインのメンテナンスとしてTKにおけるマイクロサンプリングに関するQ&Aが検討されている。今回,我々は,従来より報告されているプラズママイクロサンプリング(PMS)法(斧研ら,第41回日本毒性学学術年会[2014])の自施設におけるラット反復毒性試験への導入を目指し,PMS法による頻回採血における血液採取量の違いが毒性試験評価項目に及ぼす影響を検討した。
【方法】生後8週齢の雌雄SDラットを用いて,反復投与試験開始時及び4週間後に相当する8週齢および12週齢時に頻回採血を行い,一般状態観察,体重,摂餌量,血液学的検査,病理組織学的検査について評価した。採血条件は,①0.04 mL×8ポイント,②0.10 mL×4ポイント,③0.10 mL×8ポイントの3種類とした。
【結果】0.10 mL×8ポイント採血群では,RBC, Hb, Htの低値,Retの高値が認められ,頻回採血による血液学的検査項目への影響が伺われた。一方で0.04 mL×8ポイント採血群及び0.1 mL×4ポイント採血群においてはRBC, Hb及びHtに若干の変化は認められたものの,弊社の背景値の範囲内の変動であった。
【結論】0.04 mL×8ポイントまたは0.10 mL×4ポイントの頻回採血は,毒性評価に影響しないと考えられた。従って,PMS法を導入することにより,主群の動物のみで毒性評価に影響を及ぼすことなくTK評価を行うことが可能であると判断された。
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© 2016 日本毒性学会
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