日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-155
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一般演題 ポスター
Neutrophil Extracellular Trapsに着目した自然免疫活性化に関する基礎的検討
*堀内 祥行山本 誠司吉田 徳幸井上 貴雄奥井 文松久 明生
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抄録
感染等の刺激によって引き起こされるNeutrophil Extracellular Traps (NETs)は2004年Brinkmannらによって報告され、現在では敗血症を含む炎症性疾患や自己免疫疾患等の病態に関与していることが明らかになっている。NETsは、微生物等の刺激により活性化された好中球の細胞死によって放出される網目状構造体と定義され、ゲノム、ヒストン、殺菌タンパク質等が結合した複合体から成り、微生物を捕捉し殺菌する機能を持つ。一方で、生体内で一旦形成されたNETsが分解等によって制御されない場合、残存したNETs成分に起因する様々な急性の炎症疾患、あるいは慢性の疾患が惹起される事が報告されている。NETsを誘導するリガンドにはサイトカイン・PMA等の低分子・菌体成分が挙げられるが、対応するレセプターの候補としてToll 様受容体(TLRs)に着目する事ができる。現在、NETs形成にTLRsが関与しているかどうか詳細な検討はなされていない。本研究では、好中球のTLRsが、そのリガンドによってNETs形成を誘導できるか検討した。
健常人末梢血から分離したヒト好中球に対して各種TLRリガンドを用いて刺激し、NETs形成能を評価した。NETs形成の評価は、細胞外DNAの蛍光染色による顕微鏡観察、細胞外のヒストンやMyeloperoxidase (MPO)の免疫染色法による同定、及び、発生する活性酸素の定量を実施した。種々のTLRリガンドのうち、いくつかのものでNETs形成が誘導され、活性酸素産生量の増加が認められた。好中球のNETs形成能がTLRを介した自然免疫活性化の指標となる可能性が示唆された。
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© 2016 日本毒性学会
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