日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-16
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優秀研究発表 ポスター
新規マウスPXR活性化物質の探索
*加納 誠人阿部 太紀保坂 卓臣佐々木 崇光吉成 浩一
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抄録
【目的】異物応答性核内受容体であるpregnane X receptor(PXR)は、薬物代謝酵素の発現調節、エネルギー代謝や炎症シグナルの調節などの多彩な生理機能を有する。PXRの生理機能解析には病態モデルマウスやPXR欠損マウスは欠くことができないが、現在マウスPXR(mPXR)活性化物質として汎用されているpregnenolone 16α-carbonitrile(PCN)は、PXR非依存的な抗炎症・抗線維化作用を有しており、また、PCN以外に利用可能なmPXR活性化物質も知られていない。これらのことは、モデル動物を用いたPXR機能に関する詳細な解析を困難にしている。そこで本研究では、新規mPXR活性化物質の探索を行った。
【方法】ヒト肝癌由来細胞株のHepG2細胞に、mPXR発現プラスミド及びCYP3A4由来PXR応答配列を含むルシフェラーゼレポータープラスミドをリポフェクション法により導入し、溶媒、陽性対照(10 μM PCN)又は被験物質(100 μM)を24時間処置してレポーター活性を測定した。次に、コラゲナーゼ還流法で調製したマウス初代培養肝細胞を同様に溶媒、陽性対照又は被験物質で24時間処置し、総RNA を抽出してCyp3a11及びCyp2b10のmRNAレベルを定量的逆転写PCR法により測定した。
【結果及び考察】化審法既存点検物質を中心とする一般化学物質123化合物についてレポーターアッセイによるスクリーニングを行い、陽性対照であるPCNによる活性化の20%以上の活性化作用を示した17化合物を抽出した。これら化合物でマウス初代培養肝細胞を処置したところ、4物質はmPXRの標的遺伝子であるCyp3a11及びCyp2b10のmRNAレベルをPCNと同様の比率で有意に上昇させ、mPXR活性化物質候補である可能性が示された。現在マウス個体での作用を解析中である。
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© 2016 日本毒性学会
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