抄録
米国FDAは、新薬の審査期間短縮のため、承認審査に際して提出される臨床・非臨床データの電子化を推し進めている.非臨床データに関しては、Clinical Data Interchange Standards Consortium (CDISC) が中心となり、臨床試験データのコンテンツ標準であるCDISC Standard Data Tabulation Model (SDTM)を非臨床試験用に拡張修正したStandard for Exchange of Nonclinical Data (SEND)のImplementation Guide (SENDIG) を発表するなど、SENDの普及活動を行っている.FDAはSENDの正式開始である2016年を待たずして、既にSENDを用いた申請を受け入れており、多くの製薬企業が、この制度を利用したデータ・ウエアハウスの構築に取り組み始めていると考えられる.この傾向は、経営戦略上、SENDによる非臨床データの提出が重要なものと位置付けられていることの現れと考えられる.これからは、SENDデータセットの作成からFDA申請に至るまでのリスクを回避し、その恩恵を享受するための戦略的思考が製薬企業には求められる.しかし、非臨床試験は非臨床試験受託研究機関(CRO)に委託されるケースが多いため、データセット作成には、製薬企業とCROが効率的に役割分担することが重要となる.本発表では、欧米の製薬企業やIT企業のデータマネージメント・生物統計・電子臨床データの専門家で構成される国際非営利団体Pharmaceutical Users Software Exchange (PhUSE) が提案するデータセット作成のInterorganizational SEND (ISEND) の3つのシナリオと共に日本において製薬企業及びCROが認識すべきSEND対応方法について考察する.