日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-262
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一般演題 ポスター
メトキシ酢酸とその関連物質の胎児毒性と精巣毒性-メチル基転移とヒストン修飾の役割-
山添 康*山田 隆志三森 国敏
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抄録
メトキシ酢酸は、2-メトキシエタノール、ジ-2-メトキシフタル酸、1,6-ジメトキシヘキサンの代謝によって産生され、実験動物において催奇形性と精巣毒性を引き起こすことが知られている。本研究では、メトキシ酢酸の催奇形性と精巣毒性のAdverse Outcome Pathway (AOP)を構築するために、そのメカニズムに関連した既存の文献情報を収集し、体系的に整理した。メトキシ酢酸は、セルトリ細胞と胎生細胞で発現するヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、乳酸を輸送するモノカルボン酸トランスポーターと関連している。急速な分裂が進む細胞では、メチル基及びアセチル基の修飾を介したヌクレオソームのヒストン交換並びに細胞のエネルギー消費の上昇を伴った核酸合成速度の上昇が起こる。これらの現象は、メトキシ酢酸を介した催奇形性及び時期選択的な精母細胞の障害と関連すると考えられる。また、メトキシ酢酸を介したヒストン脱アセチル化酵素阻害は初期イベントとして、細胞周期制御因子であるp21の活性化と関係している。それに加えて、メチル基を転移する葉酸S-アデノシルメチオニンサイクルと精巣におけるサルコシン及びクレアチンの代謝との機能的な関連が示唆された。そこで、メトキシ酢酸の毒性メカニズムを、エピジェネティック現象と細胞特異的な代謝の関与についての最近の理解と関連付けて考察する1)
1) Yamazoe Y. et al., Food Safety, 3, 92-107 (2015)
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© 2016 日本毒性学会
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