日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-36
会議情報

一般演題 ポスター
マイクロミニピッグの雌性生殖器の発達と発情周期に伴う組織学的変化
*寒川 彰久大竹 正剛塩谷 聡子柴田 昌利
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【背景と目的】マイクロミニピッグ(以下MMP)はミニブタの中でも小型であることから実験動物としての利用が近年増加している。投薬や飼育コストを減らせる点で有利であるが、MMPの特徴については未知の部分が多い。本研究では雌のMMPに着目し、生殖器の発達や発情周期に伴う組織学的変化を明らかにすることを目的とした。【方法】2013年4月から2015年12月の期間中、当センターで飼養する雌MMP延べ57頭について発情調査を実施し、これらのうち未発情MMP4頭(5ヵ月齢)、不動反応を伴う安定した発情周期がみられた性成熟MMP11頭(8.5~26ヵ月齢)の計15頭を剖検に供した。雌性生殖器を採材後、定法に従いパラフィン包埋切片を作製し、染色はHE染色およびPAS染色を実施した。【結果】発情調査では発情周期:20.9±1.3日、不動反応持続期間:1.8±0.7日であった。未発情MMPでは胞状卵胞の発育はみられたものの排卵に伴う黄体形成は認められず、子宮の粘膜および腺上皮は未発達であった。性成熟MMPではすべての個体で黄体形成(5.9±1.4個)が認められ、子宮重量は加齢とともに増加した。発情期の卵巣では胞状~グラーフ卵胞と退行中の黄体が観察され、卵管では微絨毛上皮細胞が優勢で、子宮粘膜上皮は偽重層様を呈していた。黄体期の卵巣では初期から中期に進むにつれて黄体細胞が発達し、卵管では線毛上皮細胞が優勢で、子宮では高さの増した円柱粘膜上皮が陥入し子宮腺が発達していた。PAS染色ではCall-exner bodyや透明帯、黄体期の子宮腺等が陽性を呈していた。【考察】雌性生殖器は動物種や発情周期等により組織像は大きく異なることから、基本的な組織像を把握しておくことが非常に重要となる。今回の結果は一般的なミニブタの既報例と同様であったものの、今後の試験研究にとって有用な基礎的データになると考えられた。
著者関連情報
© 2016 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top