抄録
【目的】美白成分であるロドデノール(RD)含有化粧品で白斑症が報告され、社会問題化した。そこでRDおよびその製造原料のラズベリーケトン(RK)を黒色モルモット(JY-4/Tmip)背部皮膚へ塗布し、脱色素作用を調べた。さらに塗布時にUVBを照射してその影響を調べ、既知脱色剤ヒドロキノン(HQ)と比較した。【方法】背部6区画/匹に、実験1:RD(1.25-20%)、RK(2.5-20%)を5週間(1日2回、週5日)塗布、直後にUVBを照射する群(50, 100mJ/cm2)と非照射群を設けた。実験2:RD, HQ (5-20%)を5週間(1日1回、週6日)塗布した。溶媒にはEtOH/Aceton(1:1)またはEtOHを用いた。塗布終了後1週目に白色化強度(L*値)の測定および一部についてメラノサイト・メラニン顆粒などを組織学的に観察した。その後定期的に回復を調べた。【結果】皮膚白色化は、RD非照射群のEtOH/Aceton 5%、EtOH 2.5%以上で明確であり、白色化部位付近には白毛が散見された。EtOH/Acetonでは白色化は弱く、その分布は不均一で、濃度依存性はなかった。UVB照射は白色化を強めなかった。RKではUVB照射・非照射に拘わらず白色化作用はほとんどみられなかった。HQでの白色化はRDよりも強く起こったが、白毛の発生はほとんどなかった。RD, HQの白色化部位では、L*値の増加、表皮の肥厚、メラノサイト・メラニン顆粒の消失や減少が確認された。白色化は時間経過と共に回復し、またその隣接部位で一時的に皮膚黒色化を示す例もみられた。【結論】黒色モルモット皮膚への塗布でRDは脱色素作用を示し、RKは示さなかった。RDの作用はHQより弱く、表皮・毛球メラノサイトに影響した。RD塗布時のUVB照射は白色化を増強しなかった。本実験はヒト白斑症の動物モデルとしての有用性を示した。