日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-55
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一般演題 ポスター
Rhododendrolのシステイン含有ペプチドへのチロシナーゼ依存的な結合
*秋山 卓美清水 久美子伊藤 祥輔内野 正最上(西巻) 知子五十嵐 良明
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抄録
【目的】Rhododendrolはチロシナーゼの阻害によってチロシンからのメラニン生成を抑制するとされているが,それ自身がチロシナーゼにより代謝されタンパク質等のSH基と結合することが報告された.これを配合した化粧品による白斑の発症要因については研究が進められているが,上記報告は発症に免疫系の関与を疑わせる.そこで本研究では,化学物質の感作性を評価するDirect Peptide Reactivity Assay(DPRA)で用いられるシステイン含有ペプチドに対するrhododendrolのチロシナーゼ依存的な結合性を評価した.
【方法】Rhododendrolをリン酸緩衝液(pH6.5)中でDPRA用システイン含有ペプチド(DPRA(Cys))およびマッシュルーム由来チロシナーゼと混合して,25℃で18時間インキュベートした.この試験溶液を,ODSカラムを用い,トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル溶液を移動相としたLC/MSによって分析した.さらに分取HPLCにより反応生成物を分離,精製した.これを標準物質としたLC/MS分析によりrhododendrolのペプチド結合率を測定した.
【結果及び考察】Rhododendrolをチロシナーゼ共存下DPRA(Cys)と反応させた試験溶液ではDPRA(Cys)のピークが消失し,新たな生成物のピークが検出された.チロシナーゼが共存しない場合には,DPRA(Cys)のピークは有意に減少せず,新たなピークも検出されなかった.マススペクトルから計算すると,生成物はrhododendrolが酸化されたカテコールがシステイン基に結合したペプチドと考えられた.この結合ペプチドの生成量を定量したところ,添加したrhododendrolの約60%が結合したことがわかった.現在,構造類似化合物についてペプチド結合能の検討を行っている.
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© 2016 日本毒性学会
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