日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-94
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一般演題 ポスター
Gapmer型アンチセンスの相補結合依存的オフターゲット効果に関する研究
*吉田 徳幸内藤 雄樹佐々木 澄美内田 恵理子小比賀 聡内藤 幹彦井上 貴雄
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抄録
 近年、「標的mRNAを分解するタイプのアンチセンス(= Gapmer型アンチセンス)」の開発が進んでいる。2013年に全身投与性の核酸医薬品として初めて上市されたMipomersen(商品名Kynamro:ApoB-100を標的とする高コレステロール血症治療薬)もGapmer型アンチセンスであり、その有効性は実用化のレベルに達している。一方で、Gapmer型アンチセンスを初めとした核酸医薬品の安全性を考える上で、核酸医薬品に特有の懸念点となるオフターゲット効果に留意する必要がある。特に、Gapmer型アンチセンスはmRNAを標的とするため、標的以外の類似した配列を有するRNAと相補的に結合し発現を抑制する「相補配列依存的オフターゲット効果」のリスクが懸念される。
 この点を解決するため、これまで我々は「Gapmer型アンチセンスとどの程度の相補性を有するmRNAが影響を受けるのか」について検証し、13塩基長のGapmer型アンチセンスがオフターゲット効果を誘導する配列条件を見出した。そこで本研究では、Gapmer型アンチセンスの塩基長によるオフターゲット効果の誘導条件の違いを検証するために、eGFP mRNAを標的とする15・18塩基長の抗eGFPアンチセンスとeGFP安定発現ヒト細胞を用いて、ヒト細胞に内在的に発現する遺伝子への影響を検討した。その結果、いずれの塩基長のGapmer型アンチセンスにおいても明確なオフターゲット効果が観察され、Gapmer型アンチセンスの塩基長が長くなるほどミスマッチの影響は小さくなり、多くのミスマッチが入っても発現抑制される確率が高くなる傾向にあった。本発表では、各塩基長のGapmer型アンチセンスによって、「どの程度の相補性を有するmRNAが発現抑制を受けるか」について具体的な数値を議論したい。
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© 2016 日本毒性学会
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