日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: S17-1
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シンポジウム17 再生医療・細胞治療の品質・安全性評価のあり方 -患者様のリスク最小化に向けたアプローチ-
再生医療用iPS細胞ストックの品質評価について
*梅景 雅史
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抄録
iPS細胞は体の様々な細胞や組織に分化できる能力を持った細胞である。iPS細胞を利用した再生医療はこれまで有効な治療法がなかった疾患に大きな期待が寄せられており、我々はiPS細胞研究中核拠点として、再生医療に利用可能である安全かつ有効なiPS細胞ストックの作製を目指している。ストックの作製には健常人HLAホモドナーの血液または臍帯血を使用し、iPS細胞研究所内にある細胞調製施設(FiT:Facility for iPS Cell Therapy)で樹立を行う。現在、頻度の高いHLA型のドナーからストックを作製し、第一段階として2017年度中に日本人の30~50%程度をカバーする計画を進めている。これらのストックは必要に応じて国内外の医療機関などに提供することを目的としている。
2013年度からFiTにおいて再生医療用iPS細胞の作製を開始し、複数の候補株をストックした。それらの品質を評価するため、ウィルス・細菌等の汚染検査をはじめ、遺伝子発現、ゲノム解析、エピゲノム解析、核型などの解析を行った。また、CiRA内外の共同研究先へ評価用の細胞を提供し、分化能の評価や前臨床試験などを行ってもらっている。
これらの試験結果を総合的に判断し、2015年8月に最初の再生医療用iPS細胞ストックの提供を開始した。
今回は、提供を開始するまでに行ったiPS細胞ストックの品質評価の実際を紹介する。
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© 2016 日本毒性学会
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