日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: S5-5
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シンポジウム5 医薬品に係わる添加物と剤型革新における安全性評価
安全性評価に係わる視点のまとめとデータベースの活用
*飯島 護丈
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抄録
医薬品添加物は有効成分の安定性、バイオアベイラビリティ、薬効、安全性を高め、治療効果を最大限発揮する重要な用途をもつ。用途は広範囲で有効成分と比較して配合量が一般に多く、複数の製剤との併用も珍しくない。また、患者が製剤に含まれる添加物を自ら選択できないことから安全性へのリスク評価は大切となる。
投与経路は、内服、静脈内投与に留まらず、舌下錠、吸入剤、坐剤等と革新的なDDSの発展に伴い様々な経路で、適切な添加物が選択されるため安全性の視点も多様となる。
医薬品添加物の開発にあたって使用前例(投与経路、使用最大量)に該当しない場合は、安全性等に関する資料を提出して承認を得なければならない。ただ、添加物のみでの事前評価(承認)は行われておらず、配合する有効成分との安全性評価となる。添加物の安全性資料のほか、製剤での安全性資料による評価事例もある。
安全性に係わる反復投与の視点として、有効成分では治療効果を指標とした薬理作用の延長上の変化から標的器官の特異的変化や非特異的な有害作用により非臨床におけるリスクが一般に推定される。一方、医薬品添加物では、日局による「製剤の投与量において添加物は薬理作用を示さない」から、安全性薬理、体内動態や用途に特異的並びに非特異的な変化におけるリスクが注目される。がん原性・刺激性・免疫原性等への添加物の視点として有効成分とのリスク評価は同様である。
添加物の安全性に係わる情報源として、化学物質のTOXLINE等のデータベースが助けとなる。その他、添加物に注力した成人と小児に係わるユニークな情報がSTEP (Safety and Toxicity of Excipients for Paediatrics) databaseで、本年2月、40品目に達し、臨床、非臨床、in vitro、規制等の情報、Reviewの5項目に収載されている。
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© 2016 日本毒性学会
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