日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: S7-1
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シンポジウム7 安全性評価におけるイヌ慢性毒性試験とマウス発がん性試験の有効性
国際的評価機関での農薬の毒性評価におけるイヌの毒性試験について
*吉田 緑
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抄録
消費者は食物を通じて意図せずに残留農薬にばく露されることから、農薬の使用について厳しい使用基準が設けられている。食品安全委員会はその設置以来、各農薬の一日許容摂取量(ADI)や近年は急性参照用量(ARfD)を設定するためヒト健康影響評価を行い、その審議結果をリスク管理機関に答申するとともに、毒性評価の経緯や判断をまとめた農薬評価書および専門調査会での議事録を公開している。
地域によって異なる食文化、土壌や天候の影響を受けるばく露評価と異なり、ADIやARfDの設定に用いる毒性試験成績は、地域による影響を受けることは少ない。同じ申請者である場合、毒性評価に使用するために要求する試験の種類は、国により異なっているが、基本となる試験は共通しているため、イヌの毒性試験も含めほぼ同じ毒性試験が提出されることが多い。また、残留農薬の国際リスク評価機関であるJoint FAO/WHO Meeting of Pesticide Residues (JMPR)の毒性評価においても申請者が同じ場合は、各国とほぼ同じ毒性試験セットが提出されている。
毒性評価基準は各国でガイダンスなどが定められ、それに基づいて評価されているが、科学的には同様な基準であることが多く、国際的に大きな違いがあることは少ないのが現実である。しかし一方近年では、イヌ長期(1年間)試験の必要性について議論となっている。
本シンポジウムでは、各国のイヌ長期試験の必要性という観点ではなく、国際機関等で評価されてきたイヌ毒性試験からどのような毒性学的な特徴が捉えられ、また基準値にどのぐらい反映されているのか等を紹介し、演者の責としたい。
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© 2016 日本毒性学会
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