抄録
シクロフォスファミド(CPA)は,DNAと架橋結合しDNA合成を阻害する抗悪性腫瘍剤であり,多くのがん治療に使用されている.これまで報告されているヒトへの副作用には,骨髄抑制,出血性膀胱炎,免疫抑制作用に伴う感染症,肝障害及び腎障害などが挙げられ,非臨床試験においても類似の所見が認められている.
今回我々は,医薬品の安全性評価におけるマイクロミニピッグの有用性を一般毒性試験において検証するため,CPAの4週間反復投与毒性試験を実施し,ヒトへの外挿性並びに他動物種の毒性試験データとの相違を検証したので報告する.
【方法】雄性マイクロミニピッグ4群各3匹(0,1,3,10 mg/kg)にCPAを4週間反復強制経口投与し,一般状態の観察,体重測定,摂餌量測定,眼科学的検査,心電図検査,尿検査,血液学的検査,血液生化学的検査,免疫学的検査及びTK測定を行った.また,最終投与の翌日に剖検を実施し,器官重量測定及び病理組織学的検査を行った.
【結果】4週間の反復経口投与及び各検査は予定通り完了し,他の動物種と同様に実施可能であった.CPAの4週間反復強制経口投与により,摂餌不良及び体重減少が10 mg/kg群で顕著にみられ,投与第2週には1例で死亡が認められた.また,血液学的検査及び血液生化学的検査では,1 mg/kg以上の群で白血球数の減少,3 mg/kg以上で赤血球数,ヘマトクリット値,ヘモグロビン量及び総タンパクの減少,10 mg/kgで網状赤血球数,血小板数,リン脂質及びアルブミンの減少が認められた.また,器官重量では免疫系器官に変化がみられ,CPAの骨髄抑制及び免疫抑制作用が顕著であった.これら変化はげっ歯類で報告された変化と一致していた.
上記結果に加えて,病理組織学的検査,TK測定及び免疫学的検査等の検査結果についても報告する.
To assess the usefulness of Microminipigs in general toxicity studies, we performed a four-week repeated toxicity study of cyclophosphamide. Bone marrow and lymphoid organs were affected as observed in other animal species.