日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: SS-3
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日本毒性学会35周年記念特別企画 学会の生い立ちと未来展望
認定トキシコロジスト制度と教育体制
*津田 修治
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抄録

現在世界で25以上の毒性関係認定制度が存在するがJSOTの認定制度は米国のABT, ATSおよび欧州のERTと並んで4大認定制度の一つと認識されている。その中でも試験による認定制度はABTとJSOTだけである。また, この認定試験のために講習会を行い, 教科書を編集しているのはJSOTのみである。さらに, 厚生労働省の認知を得ているのは我が国だけであろうと思われる。この歴史を振り返り, 将来の方向性を考える場を提供できるならば幸いである。
1993年夏の第4回日本毒科学会基礎教育講習会の懇親会の席上で認定トキシコロジスト制度の必要性が取り上げられた。内容は“医薬品などの申請者と評価者が同じ科学的立場で議論するためには認定制度が必要だが, 受ける側にメリットが無くてはならない"などであった。96年に総務委員会ワーキンググループにおいて「トキシコロジストのモチベイションを高め試験責任者等の質の向上を図り毒性学を発展させるためには, 門戸を広くしてABTと同等の範囲・レベル・基準を満たすことが必要である」ことが確認された。指定参考図書はCasarett & Doull's Toxicologyとした。98年に第1回講習会が行われた後に最初の認定試験が行われた。2002年に厚生労働省の鶴田大臣官房審議官が「申請時に添付する履歴には認定トキシコロジストであることを明記してほしい。可能ならば安全性評価の責任者は有資格者であることが望ましい」と発言した。2003年に日本トキシコロジー学会教育委員会編「トキシコロジー」を指定参考図書とした。その後産学官の参入を得てこの認定制度は毒性学会会員を結び付ける絆として発展している。また, 大学教育と企業でのOJTと共にトキシコロジストの教育に貢献している。
現在GLPやガイドラインと同様に,トキシコロジストの質の世界的調和のために認定制度の調和が必要とされている。更なる発展と社会貢献が期待される。

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