日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: SS-4
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日本毒性学会35周年記念特別企画 学会の生い立ちと未来展望
毒性学への産の貢献:過去と未来
*眞鍋 淳
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抄録

1975年に100人の発起人の提案により毒作用研究会が設立され第一回の研究会が開催された。この時の発起人は全て官・学の研究者であり産の研究者が含まれることはなかった。そして総演題数41題の内、産からの発表は4題にとどまり内容も実験手技に関わるものであった。それから、日本毒科学会、日本トキシコロジー学会、日本毒性学会と40年余りが過ぎる中で、一般演題中、産からの発表が1980年代には30%、1990年代には50%、2000年以降にも50%程度、多い年には60%を超えるようになった。産の会員の多くは製薬企業、安全性試験受託機関に所属しているため、学術年会における発表数の増加には医薬品開発に関わる種々の要因が関与している。厚生省による医薬品GLPの制定(1982年)の前後には実験動物管理条件、投与方法、試料採取法等の実験手技・条件についてのシンポジウム等が産官学の協力で開催された。ICHによる安全性評価の国際的ハーモナイゼーションに対応するため、各ガイドラインの通知時期にはシンポジウム等が設定されたほか、一般講演での関連発表も増加した。薬物相互作用、特異体質性薬物障害等のヒトへの外挿性に影響を与える因子については継続的にプログラムが企画されてきた。発表内容自体に注目すると、非臨床安全性試験結果のヒトへの外挿性をより高めるための、① 動物モデル(サル、ミニブタ、遺伝子改変動物)を使用した評価法、② in vitro培養組織・細胞を用いた評価法、③ 測定法・解析法の改良、④ in silico予測システムの構築等への貢献が多く含まれる。低分子医薬品、抗体医薬品の他、核酸医薬、再生医療用製品も新たなモダリティとして期待されており、これら新規医薬品モダリティのリスク評価に対応するためには、ヒトiPS細胞や新規のヒト化マウスを用いた試験法の導入を含め、外挿性向上や安全性バイオマーカー探索等を官・学と協力し進めていく必要がある。

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© 2016 日本毒性学会
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