日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: W1-4
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ワークショップ1 認定トキシコロジスト制度 -これまで、現在、これからー
米国の毒性研究者認定制度(DABT)について
*朝倉 省二
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抄録
 米国における毒性研究者の認定制度の歴史は古く,その管理団体であるAmerican Board of Toxicology(ABT)の設立は今から37年前の1979年4月まで遡る。設立場所は米国政治の中枢Wshington DCであり,米国におけるGLPの公布が同年6月であることを考えると,この認定制度は毒性研究の地位向上だけでなく,化学物質の安全性という社会的責任の重い研究領域の信頼性向上も大きな目的であったことが容易に想像される。ABTのWeb siteによると,設立趣旨として1)毒性研究の奨励,2)専門的業務の基準確立とその向上,3)その手順の整備および管理,さらに4)能力の確認および認証,の4つが挙げられており,専門性を認定された者がDABT(Diplomate of the American Board of Toxicology)と呼ばれる。
 DABTの認定試験は,書類審査により受験資格が確認された受験者に対し,年1回10月に世界4カ国,5会場(米国東海岸,西海岸,英国,インド,韓国)で同時刻に開催される。試験は3つのトピック(化合物の毒性,各臓器への影響,毒性の基本原則と応用毒性)について,1.5日かけて行われる。ここ数年の実績では毎年約100名の合格者が輩出され,現在2304名(2014年)のActive Diplomateが活躍している。米国においては毒性研究の専門資格として広く認識され,企業への採用,業務遂行,給与面等でも評価される。日本人受験者も毎年増えており,ここ数年は毎年複数名の合格者が輩出されている。現在までに約20名強の日本人DABTが登録されており,昨年はDABT日本人会も設立された。
 今回の発表では,ABTの概要を紹介するとともに,DABT受験から認定を受けるまでの道のりについて述べる。また,米国におけるDABTの役割,日本人DABTの活躍の場についても紹介したい。
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© 2016 日本毒性学会
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