日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: W3-3
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ワークショップ3 ネオニコチノイド研究とリスク評価の最前線 ~ミツバチからヒトの社会まで~
ヒト尿中ネオニコチノイドおよびその代謝産物の高感度分析による暴露実態の解明
*池中 良徳石塚 真由美
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抄録

近年、ネオニコチノイドによる暴露が原因とされる野生動物、特に鳥類への被害に関する報告が後を絶たない。更に、ネオニコチノイドは、哺乳動物に対して蓄積性はなく、毒性は無視できると言われて来たが、使用量急増による亜急性・慢性曝露の実体、又は健康影響に関する調査はまだまだ不足している。
ここで、ヒトへの曝露実態の解明には非侵襲的に採取できるサンプルである尿がしばしば使用される。即ち、尿中に排泄されるネオニコチノイドおよびその代謝産物を測定することにより曝露量を概算することが可能となる。一方で、ネオニコチノイドは極めて代謝されやすいため、親化合物のみでなく代謝産物も対象としたスクリーニングが必要である。そこで、当該研究では、主要ネオニコチノイド7種(ジノテフラン、ニテンピラム、チアメトキサム、クロチアニジン、イミダクロプリド、アセタミプリド、チアクロプリド)に加え、その代謝産物について一斉分析法を確立し、LC-ESI/MS/MSによる分析を行った。
群馬県の尿サンプルを85検体採取し、分析した結果、ニテンピラム(n = 4)、クロチアニジン(n = 1)、チアメトキサム(n = 7)は親化合物が尿中から検出された。一方、アセタミプリドについて、親化合物は検出されなかったのに対し、その代謝産物であるNデスメチル体が14サンプルで検出された。
当該結果は、ヒトにおけるネオニコチノイドの曝露評価において、代謝産物を含めたスクリーニングが重要である事を示唆するものであった。

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