日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-179
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一般演題 ポスター
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞のピューロマイシン(PAN)誘発腎障害モデルラットに及ぼす影響
*馬 成俊中岡 きくよ今泉 真和榊原 基嗣水町 凉治守住 孝輔押方 孝文太田 ひろみ作田 直道浜村 政夫大西 康之片山 誠一西 勝英
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抄録
【目的】再生医療製品の研究開発が盛んに行われている.今回,我々はピューロマイシン(PAN)誘発腎障害ラットを作製し,腎障害に対するヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)の作用を検討した.【方法】本研究では,無処置群,対照群,hMSC静脈内及び腎動脈内投与群及びプレドニゾロン(PDL)投与群を設けた.PANを100 mg/kgの投与量で1回尾静脈内投与した.hMSC及びPDLは,それぞれPAN投与の2.5時間前及び2時間後に投与した.PAN投与後4週まで経時的に尿検査及び血液生化学的検査を実施し,4週に腎臓を摘出し病理組織学的検査を実施した.【結果】PAN投与により,尿中KIM-1, NAGL, OPN, β2M, Clusterin, α-GST, GSTYb1, RPA-1, Cystatin-C, Alb, NAG,UproV,血清中Alb, TG, T-CHO, UN, A/G比及び腎臓重量の有意な増加が認められ,尿中Alb, Cre, Na+, K+, Cl-及び血清中TP, Alb及び体重の有意な減少が認められた.hMSC静脈内投与は,PAN誘発したβ2M, Clusterin, α-GST, GSTb1の増加を抑制したが,hMSC腎動脈内投与は,PAN誘発したKIM-1, OPN, clusterin, α-GST, Cystatin-C, Na+, K+, Cl-, UproV, Cre, TP, Alb, UN, A/Gの変化を増幅した.なお,PDLは,PAN誘発腎障害モデルラットに改善効果を示した.【結論】本実験条件下では,hMSCの尾静脈内及び腎動脈内投与は,それぞれPAN誘発腎障害ラットのβ2M, Clusterin,α-GST, GSTb1の増加抑制及びKIM-1, OPN, Clusterin, α-GST, Cystatin-C, Na+, K+, Cl-, UproV, Cre, TP, Alb, UN, A/G変化増強作用を示した.再生医療等製品の開発の際,投与経路を慎重に選択する必要が示唆された.
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© 2017 日本毒性学会
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