日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-192
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新規蛍光プローブSPiDER-βGalによる細胞老化マーカーSA-β-galの迅速検出
*小松 恭佳野口 克也大内 雄也石山 宗孝
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抄録
【背景・目的】
 細胞は分裂を繰り返していくと不可逆的に分裂を停止する。これを細胞老化と呼び、がん化を抑制するための防御機構の一つと考えられている。また近年、細胞老化と個体老化の関連が示唆されており、細胞老化研究は活発になっている。
 細胞老化マーカーの一つとしてsenescence-associated β-galactosidase(SA-β-gal)が用いられている。SA-β-galを検出するには5-Bromo-4-Chloro-3-Indolyl-β-D-Galactoside(X-gal)を用いた比色法が汎用されているが、この手法の問題点として、1)染色された細胞とそうでない細胞の判別を目視により行うため定量性に欠ける、2)細胞を固定化する必要がある、3)染色に時間を要する、などが挙げられる。これらの問題点を解決するため、今回我々はβ-ガラクトシダーゼ活性を検出するための新規蛍光プローブSPiDER-βGalを使用したSA-β-galの迅速検出を試みた。
【実験・結果】
 SPiDER-βGalは、細胞内のβ-ガラクトシダーゼと反応すると強い蛍光を発し、同時に周辺のタンパク質と結合するため細胞外に漏出しないという特徴を持つ。さらに、この蛍光プローブは細胞膜透過性を有するため、生細胞への適用が可能である。今回、継代培養によって細胞老化を誘導したWI-38細胞に対して本プローブを使用し、蛍光イメージングおよびフローサイトメトリーによるSA-β-galの迅速検出を試みた。その結果、SPiDER-βGalは生細胞中のSA-β-galを短時間に、且つ明瞭に蛍光検出できることが確認された。またフローサイトメトリー測定により、老化細胞を簡便かつ定量的に検出することが可能であった。
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© 2017 日本毒性学会
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