日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-282
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一般演題 ポスター
蛍光イメージングを用いたNOGマウスにおけるヒト間葉系幹細胞の検出
*山口 純弥沼田 洋輔西方 龍太郎春山 みほり有村 由貴子内山 朝子
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抄録
【背景・目的】再生医療等製品は,その投与後の体内分布を確認することが非臨床試験において重要である.体内分布を確認する方法にはqPCRによる測定や免疫組織化学的染色があるが,全ての組織を網羅的に調べる必要がある.一方,In Vivo Imaging System(IVIS)では,目的の物質を蛍光標識することで生体全身及び各組織における局在を可視化可能であり,同一個体での経時的な推移が把握できる.そこで,IVISが標識物質の生体内分布を調べる有用なツールとなり得るかをqPCR及び免疫組織化学的染色による結果と比較・検証した.【方法】NOD/Shi-scid IL2rgnullマウスに蛍光標識したヒト間葉系幹細胞を尾静脈内に投与し,投与後1,4,8及び24時間,14及び28日に全身をIVISで撮影(in vivo)し,また,投与後24時間,14及び28日には各組織を摘出して撮影(ex vivo)した.更に,撮影後の各組織からDNAを抽出し,Alu配列を標的としたqPCR及びKu80を抗原とした免疫組織化学的染色を行った.【結果・考察】In vivoでは,投与後1時間に肺で強い蛍光がみられ, 4から24時間には肝臓への経時的な移行が観察できた.Ex vivoでは, 24時間の肺で最も強い蛍光がみられ,次いで肝臓であり,弱いながらも大腿骨及び脾臓でも蛍光がみられたまた,蛍光物質は時間経過とともに減少した.qPCRでは,投与後24時間の肺及び肝臓,投与後14日の肝臓で投与細胞DNAを検出した.免疫組織化学的染色では,24時間の肺でKu80陽性細胞が確認された.以上の結果,IVISによる測定は投与した細胞の組織内分布とその経時的推移を反映していることから,再生医療等製品の生体内分布を調べるための有用なツールとなり得ることが示された.
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© 2017 日本毒性学会
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