日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-62
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優秀研究発表 ポスター
ラットにおけるコリン欠乏メチオニン低減アミノ酸食による非アルコール性脂肪性肝炎様病態に対してトランス脂肪酸が及ぼす影響
*宇野 絹子美谷島 克宏松本 茉里香張 舜恵煙山 紀子小川 秀治渡邊 厚中江 大
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抄録
【目的】本研究は、トランス脂肪酸がラットにおいてコリン欠乏メチオニン低減アミノ酸(CDAA)食により誘導される非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)様の病態発生に及ぼす影響を検索した。
【材料及び方法】実験は、各群6匹の6週齢Hsd Sprague Dawley系雄性ラットにトランス脂肪酸を含まないCDAA食(CDAA-T (-))、トランス脂肪酸を含むCDAA食(CDAA-T (+))(RESEARCH DIETS社)、または対照の基礎食(CLEA Rodent Diet CE-2、日本クレア(株))を13または 26週間投与し、飼育期間中に一般状態を観察し、体重・摂餌量を測定し、解剖時に臓器重量を測定し、血漿生化学的及び病理組織学的検査を実施した。
【結果】CDAA-T (-)とCDAA-T(+)の両群では、肝相対重量の有意な増加、血漿AST及びALT活性の上昇、肉眼的な肝臓の退色と粗造化、病理組織学的な肝細胞の脂肪化、線維化と結節形成、ED1陽性細胞数の有意な増加、GST-P陽性細胞ないし陽性巣の増加等を認めた。トランス脂肪酸の有無はこれらの変化のほとんどに明らかな影響を与えなかったが、血漿AST及びALT活性はCDAA-T (+)群がCDAA-T (-)群より有意に高値または高い傾向を示した。
【結論】以上の結果より、トランス脂肪酸は、ラットにおいてCDAA食により誘導されるNASH様病態に対して明らかな影響を与えなかったが、肝細胞傷害を増悪する可能性が示唆された。
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© 2017 日本毒性学会
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