日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-64
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優秀研究発表 ポスター
ヒト大腸がん組織由来エアリキッドオルガノイド培養を用いた新規抗がん剤抵抗性モデルの確立
*臼井 達哉櫻井 優大浜 剛硲 彰一佐藤 晃一
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抄録

【背景】大腸がんは死亡率の高いがんであり,罹患率,死亡率共に増加傾向にある。進行性大腸がん患者において,がん幹細胞の増殖を起因とする抗がん剤抵抗性の発生が,全身へのがん転移を引き起こすことが知られている。したがって,がん幹細胞を標的とした新規治療法の開発につながる新たな培養モデルの確立が求められている。
【目的】そこで,本研究では大腸がん手術検体を用いて新規三次元培養法であるエアリキッドオルガノイド培養を行い,ヒト大腸がん組織由来エアリキッドオルガノイドモデルを樹立することを目的とする。
【方法】山口大学医学部第二外科で行われる大腸がん手術検体を用いてエアリキッドオルガノイドを作製し,各検体の組織像,各抗がん剤に対する抵抗性および各種細胞マーカー発現を検討した。
【結果・考察】作製したオルガノイドはヒト大腸がん組織由来エアリキッドオルガノイドは,がん上皮細胞に加えて、がん幹細胞、間葉系細胞マーカーを発現し,各患者の摘出直後のがん組織の上皮と類似する構造を示した。また,5-FUなどの抗がん剤に対する高い抵抗性を示した。各種幹細胞シグナル阻害剤の併用処置は、オルガノイドの抗がん剤への抵抗性を改善した。以上の結果から、本研究で確立した樹立したヒト大腸がん組織由来エアリキッドオルガノイドは,がん幹細胞による抗がん剤抵抗性制御機構を探索する研究ツールとして,難治性大腸がんの新規治療薬開発に貢献することができる可能性が示唆された。

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© 2017 日本毒性学会
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