日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-27
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一般演題 口演
第2回NDBオープンデータを用いた処方薬の年齢別・性別処方動向調査
*上野 光一佐藤 洋美
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抄録

【目的・方法】

 昨年の本学術年会において我々は、第1回レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下NDB)を用いた処方薬の年齢別・性別の処方実態を解析し報告した。しかしながら、第1回NDBでは各薬効群上位30位までの医薬品集計結果であり、全体に占める医薬品数が少ないのではないかという指摘があった。そうした折、厚生労働省は2017年9月に各薬効群上位100位までの処方薬を網羅した第2回NDB薬剤データを公開した。そこで、外来院外処方の内服薬について、年齢別・性別の処方動向調査を再度行った。年齢別解析では原則として5歳刻みでまとめ、性別解析では他性に対し2倍以上使用された薬剤を抽出した。

【結果】

 解析した内服薬剤数は、4,995剤、総計1,201億8千万剤であった。年齢別・性別解析の結果、以下のことが分かった。

1.‌65歳以上の高齢者に対する処方薬剤数が全体の6割を占めた。小児期までは男性の処方薬が多く、思春期から54歳頃までは女性の処方薬が多かった。その後、定年を迎える人の多くなる55歳から69歳では男性への処方薬が多く、70歳以上では寿命の長い女性への処方薬が多かった。

2.‌処方薬剤数の総数は、女性が約646億9千万剤、男性は約510億7千万剤であり、女性に約1.27倍多く処方されていた。

3.‌内服外来院外処方医薬品4,995剤のうち、女性に男性の2倍以上処方された薬剤数は868剤であった。他方、男性に対し女性の2倍以上処方された薬剤数は373剤であった。

【考察】

 第2回NDBで各薬効群上位100位まで公表された結果、実臨床により近い処方薬提供動向が全国規模で把握できた。今回の解析の結果、処方薬提供実態には年齢差・男女差があり、医薬品適正使用のためには、年齢差・性差に関する詳細な医薬品情報の提供が必要であると思われた。

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