日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-120
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一般演題 ポスター
ゼブラフィッシュを用いたビスフェノールA代替物質の内分泌攪乱作用の評価
*久保田 彰李 宰承若山 裕己中村 倫子川合 佑典芳之内 結加岩田 久人平野 将司中田 晴彦
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抄録

ビスフェノールA(BPA)は、エストロゲン受容体(ER)を介した内分泌攪乱作用や中枢神経系に対する毒性を引き起こすことから、国内外でリスクの再評価や規制が実施されてきた。一方、BPAの代替物質としてBPS、BPF、BPAFなどの利用が近年増加しつつあるが、その安全性評価は立ち遅れている。そこで本研究では、ゼブラフィッシュを用いてin silicoおよびin vivo解析により多様なBPA代替物質の内分泌攪乱作用を評価した。分子シミュレーションソフトを用いてERの3Dホモロジーモデル(アゴニストモード)を構築し、BPA代替物質との結合状態をin silicoでシミュレーションしたところ、多くの物質で相互作用エネルギーはBPAよりも低値を示した。胚を用いてin vivo曝露試験を行ったところ、多くのBPA代替物質は濃度依存的にアロマターゼ(CYP19A1b)のmRNA発現を誘導した。いずれの物質もE2に比べて用量効果は低いが、BPA、BPE、BPFは同等の最大効力を示した。またBPCおよびBPAFは、最大効力は低いが相対的に高い用量効果を示した。Bis-MP は、用量効果・最大効力ともに高値を示した。さらにin silicoシミュレーションにより算出したERα・ERβ1との相互作用エネルギーが低い物質ほど、in vivoにおけるCYP19A1b誘導のEC50値も低い傾向がみられた。他方、部分アゴニスト作用を示したBPCおよびBPAFは、E2誘導性のCYP19A1b発現を抑制した。ERの3Dホモロジーモデル(アンタゴニストモード)を構築しin silico解析したところ、BPCおよびBPAFとERαの結合状態は、ヒドロキシタモキシフェンとERαの結合状態と類似しており、相互作用エネルギーも低い値であった。本研究の結果から、BPA代替物質とERの相互作用をin silico解析することで、in vivo曝露試験によるエストロゲン様作用、抗エストロゲン作用を評価できることが示唆された。

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