日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-123
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一般演題 ポスター
構造活性相関によるヒト用医薬品の環境影響予測手法の開発
*栗本 雅之山田 隆志白石 寛明山本 裕史広瀬 明彦
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抄録

【背景・目的】医薬品を含む化学物質の適正な管理によるリスクの最小化が国際的に合意されている現在、欧米では新薬申請時に環境影響評価データを提出することが義務付けられており、わが国でも2017年に自主的なガイドライン案がまとめられたところである。本研究は、医薬品の環境影響評価を支援するシステムとして構造活性相関等を利用した環境影響予測手法を開発することを目的とする。

【方法】藻類、甲殻類、魚類の環境影響情報(慢性毒性値)は、European Medicines Agencyのpublic assessment reports、製薬企業のHPから公開されているSafety Data Sheets/環境リスク評価データ等から収集した。環境影響を予測する構造活性相関ソフトウエアとしてUSEPAのECOSAR v.1.11および国立環境研究所のKATE on PAS2011を使用した。

【結果】収集した医薬品の最低NOEC値を医薬品分類別に比較すると、抗悪性腫瘍剤<中枢神経/精神神経用薬<抗菌剤<抗ウイルス剤<糖尿病治療薬の傾向が見られた。さらに、薬理作用によってNOEC値の傾向と種の感受性が異なることが示唆された。次に、構造活性相関による予測精度を一致率(予測値/実測値)が100倍以内となる医薬品数で評価した。甲殻類に対する影響予測では、ECOSARのAliphatic Aminesに分類された医薬品のうち92%(38剤中35剤)、Amidesでは96%(26剤中25剤)、KATEのamides or imides では100%(5剤中5剤)、primary amines aliphatic/aromatic では80%(5剤中4剤)の予測精度が得られた。

【謝辞】本研究は、AMED医薬品等規制調和・評価研究事業「構造活性相関手法に基づいたヒト用医薬品の環境影響評価手法の開発に関する研究」の助成により実施した。

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© 2018 日本毒性学会
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