日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-124
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一般演題 ポスター
ウサギにおける尿素回路構成アミノ酸のワルファリン抗血液凝固作用への影響
*秋月 さおり日浦 政則田原 晴信森下 幸治神村 彩子
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抄録

 ワルファリンはビタミンKを競合阻害することにより血液凝固因子の生合成を抑制することから、抗血液凝固薬として用いられている。多くの薬剤や食品がワルファリンと相互作用し、ワルファリンの作用を増強/減弱することが報告されている。そこで、本研究では、血液凝固因子の産生やワルファリンの代謝に関与する肝臓にて機能する尿素回路に注目し、これを構成するアミノ酸であるL-オルニチン、L-アルギニンおよびL-シトルリンがワルファリンの薬効に関与する可能性を検討した。14週齢のKbl:JW系雄性ウサギ(n=2または3)にワルファリン(2 mg/kg体重)とアミノ酸(0、20、100、500および1,000 mg/kg体重)を同時強制経口投与し、48時間後までプロトロンビン時間を測定したところ、500 mg/kg および 1,000 mg/kgのL-オルニチンを投与した際に、ワルファリンを単独で投与した場合に比べ、投与後24時間から48時間にかけてプロトロンビン時間が延長すること、その際、血中ワルファリン濃度が上昇することが示された。しかしながら同用量のL-オルニチン単独投与ではこれらの現象は認められなかった。また、in vitro系における検討ではL-オルニチンはヒトシトクロムP450の活性を阻害しなかったことから、ワルファリンの代謝に影響を及ぼさないことが示唆された。さらに、L-オルニチンはワルファリンとヒト血清アルブミンとの結合に影響せず、従ってアルブミンの薬物結合能を阻害しないことも推測された。詳細なメカニズムは不明であるが、尿素回路構成アミノ酸の種類によって薬剤への影響が異なる可能性が考えられる。なお、現在ヒトでL-オルニチンとワルファリンの相互作用は報告されていない。

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