日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-162
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ジブロモクロロプロパン投与によるラット精子形態の変化
*大谷 勝己小林 健一ヴィージェ モーセン
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抄録

【目的】コンピュータ画像解析法(CASA)は精子数および精子運動能の測定に威力を発揮してきた。筆者らはCASAを利用している間に(1)塗沫や染色の操作を必要とせず無傷の状態の精子の形態を観察できること、(2)画像を容易に保存できること、(3)暗視野の画像のために未成熟精子を肉眼で検出しやすい、などの有用性を見出した。 過去、毒性学会において、ハロゲン系プロパンを試験物質としてラット精子形態の変化を発表してきた。今回はジブロモクロロプロパン(DBCP)を試験物質として再評価したので報告する。

【方法】DBCP (25,25,75,100 mg/kg)を溶媒オリーブオイルに溶解し12週齢F344雄性ラットに週2回4週間皮下投与した(全8回投与)。対照群には溶媒のみを投与した。1週間の休薬の後、ネンブタールで麻酔して解剖し、生殖臓器重量等を測定した。5%牛血清アルブミンを含むM199培地中で、精巣上体尾部に鋏をいれ、精子を培地中に浮遊させ、CASA(機種はハミルトン社製IVOS)による各種運動能パラメーターの測定等を行った。また、精巣上体尾部を均質化し染色後CASAにより精子数を求めた。さらに保存しておいたCASAにおける拡大画像を後日呼び出し、短尾精子、未成熟精子、無頭精子、無尾精子を計測し最終的に正常精子率を求めた。

【結果】DBCPの75 および100 mg/kg投与群において有意な精子減少を確認した。運動能に関しても75 および100 mg/kg投与群において運動能の急激な低下を認めた。他方、正常精子率もまた75 および100 mg/kg投与群において減少を認めた。また、頭部・尾部離断精子が同様の群で顕著に多く認められた。

【考察】DBCPの影響として精子数の低下、精子運動能の低下は従来から認められていたが、運動能低下の原因は頭部・尾部離断精子の増加によるものと思われる。また、精子尾部の形態解析には本法が有効と考えられる。

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