日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-161
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小型魚類とアフリカツメガエルのための新規迅速骨染色法とその応用
*坂田 ひろみ内芝 舞実島田 ひろき塚田 剛史三谷 真弓有川 智博東海林 博樹八田 稔久
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抄録

 我々は、迅速かつ簡便な骨染色法の開発を行ってきた。今回は小型魚類やアフリカツメガエルのための迅速骨染色法の詳細な手順と、核や軟骨との多重染色、および深部観察への応用法を紹介する。

 メダカ、ゼブラフィッシュ、およびアフリカツメガエルを麻酔後、界面活性剤とKOHを含む透明化固定液に約16~72時間浸漬した。次にAlizarin red Sを含む染色液に15~60分浸漬した後、界面活性剤を含む洗浄液で余剰な染色を除去した。骨染色標本はグリセロールに浸漬し、実体顕微鏡で観察・画像取得を行った。また、Alizarin red Sの蛍光を発する性質を利用して、蛍光ズーム顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡によるZ-stack撮像を行い、取得画像を統合し骨の三次元像描出を試みた。さらに骨染色標本でHoechstによる蛍光核染色を行い、Alizarin red Sの蛍光との多重観察を行った。

 本法は透明化固定液に浸漬して標本をあらかじめ脱色・透明化することで、これまでよりも短時間で、手順が少なく、透明度が高いうえに標本の損傷がほとんどない骨格標本を作成することが可能となった。本法で作製した標本は、内臓、皮膚、筋肉を傷つけることなく処理されているので、鰭や筋内骨等も原位置で観察できた。また、軟部組織がほぼ完全に透明化しており、厚い軟部組織に覆われた骨(椎骨など)であっても高倍像を明瞭に描出することが可能であった。さらに、透明化された軟部組織であっても組織構築は保たれており、核との二重染色や組織学的解析への利用も可能であった。また、骨染色に先立ってAlcian blueによる軟骨染色を行うことで、骨と軟骨の二重染色も可能であった。 本法は鱗の除去以外は溶液の交換と温度管理のみの手順で行うことができるため、毒性試験等でスクリーニングとして多個体を解析する際に有用な骨染色の自動化の開発につながることが期待される。

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