日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-19
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優秀研究発表 ポスター
多様な化学物質の皮膚感作性を予測可能なMIE + Cellular responseに基づく評価体系
*水町 秀之佐久間 めぐみ今井 教安宮澤 正明坂口 斉
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抄録

<背景・目的>化学物質の動物を用いない皮膚感作性評価においては、感作性物質のタンパク質への結合性、および細胞応答を評価し判断することが重要である。これまで、タンパク質結合性ではDPRA、細胞応答ではKeratinoSens、h-CLATを行い、全て陰性であれば非感作性と判断できる3 out of 3法が開発されている。一方、これら手法の適用限界として難水溶性物質(e.g. LogKow>3.5)およびpre/pro-haptenが挙げられ、これらを克服した評価手法の確立が求められている。本発表では、LLNAおよびヒトにおける感作性を基に構築したデータベースを用い、被験物質の水溶解性に依存しない皮膚感作性評価フローを提案し、既存法との比較によりその有用性を検証した。

<方法・結果・考察>タンパク質結合性に対しては、既存情報を基に代謝産物およびタンパク質への結合を予測するin silicoモデルTIMESを、細胞応答性に対しては、難水溶性物質およびpre/pro-haptenへの高い予測性が確認されている、再構築ヒト皮膚モデルを用いた試験法EpiSensAを選択し共に陰性の場合には非感作性と判断する評価フローを構築した。難水溶性物質とpre/pro-haptenを含むLLNA 131品およびヒト71品のデータベースを用い、3 out of 3法の予測性と比較した。LLNAに対して、3 out of 3法は7品の判断が出来なかったが、本手法は全て判断可能であった。また感度は3 out of 3法の100%に対し96%であり、本手法のより高い適用性と同程度の予測性を確認できた。またヒト結果に対する予測性も、LLNAや3 out of 3法と比較して同等の予測性を確認できた。以上より、3 out of 3法の課題を克服し、非感作性を判断できる評価手法を確立できた。

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© 2018 日本毒性学会
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