日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-196
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一般演題 ポスター
化粧品原料の肝障害予測のためのin vitro肝毒性評価試験法の開発
*額賀 巧川口 萌実関根 秀一廣田 衞彦竹村 晃典薄田 健史太枝 志帆宮川 朋彦児玉 篤史伊藤 晃成上月 裕一
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抄録

【背景・目的】動物実験を伴った化粧品の販売が2013年に欧州で禁止されて以降、化粧品原料の全身毒性を評価するための代替法開発が求められている。我々はこれまでにin silico手法や曝露量評価を用いてWeight of evidence (WoE)保証による全身毒性の保証体系を構築してきた。一方で、in vitroの知見は少なく、ヒト肝障害データが乏しい化粧品原料において代替法を用いた肝毒性予測は容易でない。医薬品は臨床情報が豊富であり、ミトコンドリア障害や胆汁鬱滞の発生機序に基づく試験の組み合わせが薬剤性肝障害(DILI)予測に有用であることが示されている (Hepatology 2015. 60: 2015-2022)。そこで本研究では、医薬品におけるDILI予測手法を最適化し、化粧品原料の肝毒性評価に応用することを目的とした。

【実験方法】本検討では、55品目の医薬品(DILI classification: most concern 19品目、less concern 27品目及びno concern 9品目)を対象としてHepG2細胞又はサンドイッチ培養ヒト肝細胞を用いて、1)ミトコンドリア障害に起因する細胞毒性、2)脂肪酸蓄積、3)胆汁鬱滞、4)毛細胆管形成阻害の4つの肝毒性発生機序に基づくin vitro評価を実施した。次に、それらの結果に基づいてArtificial Neural Network (ANN)解析を行い、肝障害予測に最適なアルゴリズムを構築した。その後、構築した評価系とアルゴリズムを化粧品原料に適用し、それらの予測性について予備的に検討した。

【結果・考察】4つのin vitro評価系を組み合わせることでmost concernに分類される医薬品を検出できることが示された。また、ANN解析によるアルゴリズム構築により、ヒト肝障害の予測性は向上した。さらに、医薬品で構築した評価系を化粧品原料の肝毒性予測に応用できることが期待された。以上のことから、in silico手法や曝露量評価にin vitro評価を加えたWoEによる評価が化粧品原料の全身毒性評価に有用であることが期待された。

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© 2018 日本毒性学会
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