日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-235
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一般演題 ポスター
群飼育CD1雄マウスの闘争に対するエンリッチメントの影響の検討
*谷本 憲昭内田 景子松岡 奈央子仁科 嘉修馬場 伸之
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抄録

【背景】近年,動物福祉向上の観点から,動物実験に環境エンリッチメント(EE)を導入することが必須となってきている.げっ歯類用にも,隠れ家となるシェルター,巣材,齧り木など,様々なEEが販売されており,これらは一般毒性試験でも使用されている.雄マウスは,その生来の攻撃性のためにしばしば闘争を引き起こして同居する動物を傷付けることがあり,毒性試験の評価項目に影響することから闘争を回避することが望ましい.マウスにおける巣材やシェルターといったEEへの反応性は系統により異なり,闘争を防止する,或いは逆に助長することが報告されている.本試験では弊社で毒性試験に用いるCrl:CD1(ICR)マウスを用い,EEの組み合わせにより闘争を回避できる飼養条件および各種毒性評価パラメータへの影響を検討した.

【方法】6週齢のCrl:CD1(ICR)マウス(雄,各群12例)を各種のEE組み合わせ条件で群飼育し(プラスチックケージ・床敷・3匹群飼育.EE:①パルトーイ三角,②パルトーイ三角+エンヴェロドライ,③パルトーイ三角+イグルー,④パルトーイ三角+エンヴェロドライ+イグルー),注射用水を2週間強制経口投与した条件で,ケージごとに午前中30分間の闘争の頻度を集計した.また,各種EE組み合わせ条件での一般毒性試験評価項目への影響を検討した.試験間の偏りを考慮し,同じ試験デザインを3回実施した.

【結果】①②の条件と比べて③④の条件で闘争の頻度が低い傾向が認められたことから,Crl:CD1(ICR)マウスではイグルーにより闘争が抑制されることが示唆された.①②群では闘争による咬創,痂疲形成が認められた.現在1回目の試験を終了し2,3回目の試験が進行中である.その結果と合わせ,各種EE組み合わせ条件における一般状態,体重,摂餌量,血液学的検査,血液生化学的検査,器官重量への影響についても報告する.

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