日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-234
会議情報

一般演題 ポスター
イヌを用いた2種のガイドワイヤーの血栓性評価検討
*國枝 正幹杉山 賢小松 弘幸秋江 靖樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

2017年にISO10993-4「血液適合性試験」の改訂により,血液接触デバイスにおけるin vivo血栓性試験が追加された.本試験方法は,血管内カテーテル操作の技術を有していれば可能であるが,デバイスへの血栓付着のスコア化の習得には,実際のデバイスを用いた評価が必要であると考えられる.そこで我々は,2種のガイドワイヤーの血栓性評価の検討をNAAI(Non-anticoagulated arterial implant)モデルを用いて行ったので報告する.

【方法】麻酔下で抗凝固剤非処置ビーグル犬の総頸動脈からシースイントロデューサーを介し,0.035インチガイドワイヤーAまたはBを大腿動脈まで挿入した.30分後,高単位ヘパリンナトリウムを静脈内投与し,ガイドワイヤーを血管から取り出して評価した.スコアは,【スコア0:血栓形成が皆無または最小限である】,【スコア1:最小限の血栓形成,物質表面の1%から25%覆われている】,【スコア2:わずかな血栓形成,物質表面の26%から50%覆われている】,【スコア3:深刻な血栓形成,物質表面の51%から75%覆われている】,【スコア4:広域で血栓形成,物質表面の76%から100%覆われている】として評価した.

【結果】ガイドワイヤーAを処置した結果,スコアは1~2で,赤白色または赤色の血栓(全周性または部分的な血栓)が散在していた.それに対し,ガイドワイヤーBのスコアは4で,評価部位のほぼ全域に赤色の血栓(ほぼ全周性の血栓)が付着していた.以上より,上記基準で血栓性をスコア化し判定可能であることが示された.NAAIモデルは血栓性試験にて用いられるモデルの中でも血栓形成がしやすい条件であることから,今後は,適切な抗凝固剤量で実施するAAI(Anticoagulated arterial implant)モデルを用いた評価検討も併せて報告する.

著者関連情報
© 2018 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top