日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-241
会議情報

一般演題 ポスター
マウスクローン病TNBSモデルにおけるバイオマーカーとしてのmicroRNAの解析
*瀧 憲二Zaher RADI
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 マイクロRNA(miRNA)は,多くの疾患病因に対して遺伝子発現調節により重要な役割を果たす小さなノンコーディングRNAである。種々のmiRNAの発現様式が,様々な免疫学的要因疾患で報告されている。炎症性腸疾患(IBD)患者では,腸上皮細胞および末梢血において特異的なmiRNA発現プロファイルが報告されている。

 多数の化学誘発性の大腸炎モデルが広く使用されており,2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)は,IL-12およびTNF-αを含むTh1媒介免疫応答の活性化を惹起するため,IBDモデルとして使用されている。我々は溶媒対照およびTNBS処置マウスの結腸上皮においてmiRNA発現プロファイルを調べた。2つの標準化アプローチとして,LoessおよびQuantileを適用し,10個の有意に発現変動したmiRNAが得られた。そのうち,miR-142,-224,-342,-410,-434,-467e,-674は増加し,miR-99,-125,-324は減少した。さらに,miR-125は,TNBS処置マウスの結腸上皮において,miR-125のターゲット遺伝子であるTNF-αの発現が増加している一方で,miR-125の発現は約10倍減少していた。また,miR-224は,TNF-α処置マウスにおいて約6倍増加していたが,TNF-αアンタゴニストで処置されたクローン病患者の血清中で増加することが報告されている。

 今回のmiRNA発現プロファイルは,miRNAがIBD病因に寄与しているか,または内在する免疫学的過程を反映している可能性があることを示している。miRNA発現解析は,IBD患者における疾患のモニタリングまたは診断に有益であり,miRNA/調節遺伝子経路の解析は,IBDの治療戦略を提供することができると考えられる。

著者関連情報
© 2018 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top