臨床検査で使用する測定システム(測定試薬,測定装置など)は,測定に関する様々な要求(真度,精度など)を満たしている事が求められ,これらの要求事項をあらかじめ確認,検証し,測定結果の妥当性及び信頼性を保証する必要がある.しかしながら,現在,国内には非臨床に特化した臨床検査測定法に関連するバリデーション指針がないため,実験動物の臨床検査を実施する各研究施設は,独自の基準でバリデーションを実施しているのが現状である.なお,臨床検査以外では非臨床における分析法バリデーション指針として「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン」や「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法(リガンド結合法)のバリデーションに関するカイドライン」があるが,これらは薬物を対象にした分析を目的としていることから,必ずしも生体成分を対象にした臨床検査とは合致しない場合がある.国際的には,Critical Path Institute(C-Path)がPoints to Consider Document: Scientific and Regulatory Considerations for the Analytical Validation of Assays Used in the Qualification of Biomarkers in Biological Matricesを報告しておりバイオマーカーのバリデーション方針が整備されつつある.日本臨床化学会動物臨床化学専門委員会では,非臨床分野における臨床検査測定法バリデーション指針を作成するためのプロジェクトを発足し,日本臨床化学会のクオリティマネジメント専門委員会から報告されたヒトの臨床検査試薬を対象とした「定量測定法に関するバリデーション指針(臨床化学 第40巻第2号 2011年4月)」を基に,国内外の関連ガイドライン等を参考に,非臨床における特有の問題点を考慮した指針の作成を進めている.第44回日本毒性学会学術年会のシンポジウムにて,本プロジェクト発足の経緯と非臨床特有の問題点について報告しており,本報告ではこれまでの進捗状況及び今後の方針について報告する.