日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-255
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マウスの血液検査におけるマイクロブラッドサンプリング(MBS)法の有用性
*岩波 智徳小松 弘幸江田 景高尾 みゆき久保田 貴之門田 利人秋江 靖樹
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抄録

【目的】マイクロブラッドサンプリング(MBS)法は,少量の血液から薬物濃度の測定が可能であり,これをマウス試験に適用することで,3Rsへの貢献が期待できる.今回我々はこの方法を応用して,リファンピシン(Rif),ドキソルビシン(Dox)及びシクロフォスファミド(CP)をマウスに単回投与後,継時的にMBS法により採血し,その血液及び血液生化学的検査値に与える影響について検討した.

【方法】雄性ICRマウスを用いて,0.5%メチルセルロース溶液(以下,MC)投与群,Rif(200 mg/kg)投与群,Dox(10 mg/kg)投与群及びCP(15 mg/kg)投与群(各群N=6)を設定した.各群に単回投与を行い,投与後3,6及び9時間に頸静脈から,投与後24時間に後大静脈からそれぞれ血液約50 μLを採取した.採血サンプルは,各群3例を血液学的検査に,残り3例を血液生化学的検査に供した.血液及び血液生化学的検査値はMC投与群と各薬物投与群の間で,各採血時点において比較した.

【結果】血液学的検査では,全群で投与後24時間にRetの減少,Dox及びCP群で投与後24時間に白血球系パラメーターの変化が見られた.血液生化学的検査では,CP群で投与後3~24時間にかけて肝機能パラメーターの変化,及び投与後6~24時間にT.Cho.の上昇,Rif群では投与後6~9時間,Dox群では投与後3~24時間,CP群では投与後6~9時間にTGの低下,Rif群で投与後3~24時間にT.Bill.の上昇など薬剤の影響が認められた.

以上の結果から,マウスを用いたMBS法により継時的に採血を行った場合,血液及び血液生化学的検査値を経時的に評価可能であると考えられた.今後はMBS法を用いて反復投与による経時的変化を検討し,その結果も合わせて報告する.

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