日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-30
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優秀研究発表 ポスター
高機能人工合成膜を用いたセルロースナノファイバーの皮膚透過性試験手法の開発
*北野 結花小原 佐和枝藤田 克英
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抄録

【緒言】セルロースナノファイバー(CNF) は、優れた力学特性(軽量・高強度・低熱膨張)を有し、新材料として多様な応用が期待されている。一方、CNFは天然由来の新たなナノ材料であり、生体への影響は不明な点が多く、健康影響が懸念されている。CNFの社会実装化を促進するため、CNFの安全性評価手法の確立が求められている。近年、動物安全性試験代替法として、3次元培養ヒト皮膚モデルや高機能人工合成膜を使った皮膚透過性試験の検討が行われている。本発表では、CNFの皮膚透過性試験手法の開発を目的に、高機能人工合成膜を用いたCNF透過性試験の結果について報告する。

【方法】高機能人工合成膜としてStrat-M® (Merck製)を、試験機器としてフランツ拡散セル(PermeGear製)を用いた。試料は針葉樹由来CNF、比較としてグルコース(単糖)、セロビオース(二糖)、マルトトリオース(三糖)を用いた。レセプターとしてリン酸緩衝生理食塩水を用い、透過試験は32℃で24時間行った。検出はフェノール硫酸法で行った。

【結果・考察】高機能人工合成膜において、CNFの構成単位である単糖の透過は認められなかった。また二糖、三糖においても同様の結果であった。経皮吸収では分子量サイズが小さいほど、また疎水性が高いほど皮膚透過しやすいとされる。本結果において分子量の小さい単糖(分子量:162)は非透過であったことから、分子量の大きいCNF(分子量:約5-20万)についても試験検討中である。本研究開発はNEDO「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法の開発」事業内で実施された。

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