日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-31
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優秀研究発表 ポスター
N-SHOt Cycloneによる17種カーボンブラックの浮遊係数の比較
*三角 恭兵大西 誠山本 正弘平井 繁行菊地 芳典後藤 裕子武田 知起笠井 辰也鈴木 正明菅野 純
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抄録

【諸言】微粉末の飛散は、労働現場等での呼吸器系へのリスクとなる。従来、その「飛散しやすさ」の計測方法として、粉体に物体を落とす、回転ドラムや試験管内の粉体の挙動を見る方法、などがあった。しかし、これらの方法で粉体の「飛散しやすさ」を定量的に測定することが困難であった。そこで、我々は、定量的かつ簡便に粉体の「飛散しやすさ」を、標準粉体に対する相対値、すなわち「浮遊係数」として測定できる装置 N-SHOt Cycloneを開発した。本研究では、製造法或いは用途が異なる17種類のカーボンブラック(CB)の浮遊係数を測定、比較した。CBはいずれもトルエン抽出量0.1%以下のものであり、ファーネス法の他、各種の製造方法によって生産されている。ここでは、CBの製造法等と浮遊係数との関係について報告する。

【方法】標準粉体として、日本粉体工業技術協会:JIS試験用粉体のCB(JIS試験用粉体1(12種 カーボンブラック))を用いた。比較測定する被験物質として17種類のCB検体(詳細省略)を用意した。N-SHOt Cyclone(内容積10L)に0.1 gを投入し、ファン1400 rpm、サイクロン容器内のファン直上の中心点より2.75 L/minの流速で舞い上がった粒子を空気とともに吸引し、30分間、フィルターに濾過捕集した。フィルター上の粒子の重量を測定し、下記の計算式を用いてサイクロン内中心上の捕集点の単位容積あたりの重量濃度を算出し、標準粉体の同条件での重量濃度との比を「浮遊係数」として求めた。

・捕集点の濃度(mg/m3)=秤量値(mg)÷(捕集流量(L/min)×捕集時間(min)÷1000)

・浮遊係数=被験物質の濃度÷標準検体の濃度

【結果・まとめ】各CBの浮遊係数について、最も浮遊係数が高かったものは最も低かったものに比べて10倍以上の差があり、製造法により明確に浮遊係数に違いが認められた。この関係について、さらに詳細に報告する。尚、浮遊係数の高かったCBに関して労働現場での暴露防止により注意する必要がある。

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