日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-46
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優秀研究発表 ポスター
薬剤性痙攣毒性と作用機序推定を目指したヒトiPS細胞由来ニューロンの電気活動における解析パラメータの主成分分析
*石橋 勇人小田原 あおい奥山 夏輝岡村 愛木下 健一白川 誉史鈴木 郁郎
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抄録

ヒトiPS細胞由来ニューロンを用いた毒性評価は実験動物とヒトにおける種差の壁を越える可能性があることから,評価系の構築が期待されている.我々は神経ネットワークの機能(電気活動)を評価できる平面微小電極アレイ(MEA)を用いた細胞外記録法によって,重篤な神経毒性の指標となり得る痙攣様発火を指標とした医薬品の毒性評価系の構築を行っている.これまで,作用機序の異なる既知の痙攣誘発薬剤を用いて,痙攣様発火の検出に成功してきたが,毒性予測を可能とする評価パラメータの同定には至っていない.そこで,本研究では既知の痙攣誘発薬剤と陰性対照薬剤の分離,および,薬剤の作用機序の推定を可能とする解析パラメータの導出と解析法の構築を目的とした.また,従来は主に同期バースト発火の頻度を痙攣誘発の指標としていたが,この解析パラメータでは検出することができない既知の痙攣誘発薬剤も存在する.そこで,本研究では始めに,同期バースト発火の周期性に着目した解析パラメータを構築した.次に,これまで構築してきた10個の解析パラメータの組み合わせによる968通りのパラメータセットをそれぞれ主成分分析することで,痙攣誘発薬剤と陰性対象薬剤の分離,および,痙攣誘発薬剤の作用機序による分離に有効なパラメータセットを導出した.また,導出したパラメータセットが,他のサンプルによる実験結果に対しても有効であるかをコサイン類似度を用いて検証した.検証の結果,薬剤ごとに各々の薬剤との類似度が最大となったことから,サンプル間差に依存しない解析法であることが示唆された.本研究で構築した解析パラメータ,および,導出したパラメータセットの主成分解析を用いることで,薬剤の痙攣毒性,および,痙攣誘発薬剤の作用機序を推定できる可能性が示唆されると共に,未知薬剤への応用が期待される.

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© 2018 日本毒性学会
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