日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S11-3
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シンポジウム11
ながはまコホートを用いたゲノム・オミックス統合解析による健康医学研究
*松田 文彦ながはまコホート ヒト生物学研究グループ
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抄録

慢性疾患は個人の遺伝的背景と環境・生活習慣の相互作用で発症し、体内の微小な変化が時間とともに蓄積され緩徐に進行する。そのため一人ひとりの病型は多様性に富み、マクロな指標のみを利用し集団の平均値を画一的に当てはめたアプローチでは、極めて多様な遺伝的背景、環境、生活習慣を持つヒト集団を対象とした疾患の解析を通した予防医学の確立は困難である。したがって、個人のゲノムの多様性を背景としつつ老化を含むヒトの生命活動を生命分子の変化で記録し情報を統合して解析する「ヒト生物学」の構築が必須である。ヒト生物学研究において、疾患と関連する遺伝因子の探索は最重要項目の一つであり、現在まで網羅的ゲノム関連解析(GWAS)がその中心的役割を果たしてきたが、患者と対照群を単純比較する手法では10万人規模の関連解析をもってしても遺伝因子のごく一部しか同定できず、また同定された遺伝子の機能解析から疾患の発症機序や予後が解明された例は少ない。個人の遺伝的背景と疾患を結びつける道程は長く、転写物、タンパク質、代謝物など多様な中間形質の解析なしでは疾患の全体像を俯瞰することは困難である。そこで演者らは、ヒト生物学研究のモデルケースとして、2005年に滋賀県長浜市で「ながはま0次予防コホート事業」を立ち上げ、10,000人の参加者の10年以上の長期追跡と5年ごとの生体試料の採取や生命情報の収集・蓄積を行ってきた。ながはまコホートでは、疾患や表現型と関連する中間形質に対するゲノム情報の影響を明らかにすべく、GWASや次世代シークエンサーを活用した網羅的ゲノム解析に生理学的測定や質量分析を用いた網羅的メタボローム解析で得られたデータを組合せ、それに客観的測定により得られた表現型の情報を加えた統合解析を実施している。本講演では、ながはまコホートにおけるゲノム・オミックス統合解析の例を紹介し、疾患研究への新たなアプローチについて解説する。

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